学びをアウトプット!歯科衛生士だから伝えられる親子向け講座を開催

今回は、これまでのさまざまな学びをアウトプットした経験について書かせていただきます。

昨年、オープンした大阪市のひろば型子育て支援施設『U-me-cafe(ウーミーカフェ)』にて、オンライン講座「お口を育てよう!口元をゆるめよう!」を開催させていただきました。

ウーミーカフェを開設した望月里恵さんは助産師さん。開設の理由を、次のように語っていました。

助産師として産後の母子自宅訪問で感じていた問題を解消したいと思ったから。

新生児の自宅を訪問し、お母さんに話を伺う中で、「育児のちょっとしたことを相談できる人がいない」「コロナで里帰りできず、初めての育児がとても不安」などの声を多く耳にしました。

当時助産師として、オンラインの育児相談会などを開催していました。しかし、それでは救いきれないものがあるという現実も、同時に強く感じていたんです。

私はこれに強く共感しました。

私には成人の子どもがおりますが、出産時夫が病院に勤務しており、官舎で生活していたんです。同世代の子どもがたくさん住んでいて、一緒に遊ばせたり、子育てのアドバイスをしてもらったりしていました。長屋のような暮らしです。
(詳細はこちら:長屋子育て-note

望月さんとは、オンラインご近所システムを実装するコミュニティで出会いました。

望月さんが、子育て支援施設で講師を募集していることを知り、何かお母さんたちのお役に立てればと思い、ぜひにと手を挙げたのがご縁のはじまりでした。

同じコミュニティメンバーにはさまざまな分野のプロフェッショナルがおり、性教育講座はスペシャリストである保健師の大石真那さんが、アサーティブコミュニケーション講師は社会福祉士のしほりんが務めています。

他にも、こどものからだラボを運営する「こつばんママ」が産後の骨盤ケアなどの講座を持ちました。

望月さんは、「すべては、子どもの生み育てに関わる人々の『生みやすさ・育てやすさ・生きやすさ』のために。」をモットーとして活動されています。

望月里恵さん
望月里恵さん

オンライン講座「お口を育てよう!口元をゆるめよう!」を開催

昨年11月に初めて講座を行った際は、「お口を育てよう」というタイトル(対象は妊婦さんと2歳までのお子さんがいる親御さん)でしたが、今回はよりパパママにスポットを当てたいと考えて、それに「口元をゆるめよう」というテーマを重ねました。

講座では、口腔周囲筋ケア認定歯科衛生士として噛む力をコントロールして予防するという観点から、身体や心を緩めることのススメについてお伝えしました。コロナ禍で孤独になりがちかもしれないけれど、お子さんと笑顔で過ごしてほしいという願いを込めています。

今回の講座は、子育て支援ひろばとオンラインのハイブリッドで行われました。コロナ禍ということもあり、ひろばは3組、オンラインは10組の親子が参加されていました。

口腔周囲筋ケアからの発展で、噛む力のコントロールのためには、乳幼児期からのアプローチが必要だと感じています。

そのため、現在私は離乳食支援について歯科だけでなく他職種の方と1年コースで学び中。時に赤ちゃんの寝返りを体験してみたり、ベビーフードを口いっぱいに詰め込んでみたり。その感想をいろんな職種の方と意見交換しています。

ベーシックはこれまで少しずつ学んできましたが、さらにマニアックな視野での探求です。赤ちゃん、支援者双方の気持ちになって考えてきました。今回の講演は、そこで学んだことをちりばめた内容にしました。

中でもいちばん伝えたかったのは、コミュニケーションの大切さです。名前を呼んで、○○しようね!と言ったあとの間。赤ちゃんはそれによって、笑顔になるかもしれないし、口をぱくぱくさせるかもしれない。そこで次の声かけが出るかもしれない。

これは仕上げ磨きにも言えると思いますが、これが絶対正しいという方法はなく、反応を見ながら進めていくことで、自発行動に繋げることができるのです。

ウーミーカフェでは親子が楽しみながら学べる場になっている
ウーミーカフェは親子が楽しみながら学べる場になっている

そして、もう一つ核となることは、受講者さん、またそのご家族の健康観(ウェルビーイング)に寄り添った提案です。

その価値観により、糖質摂取量を含む食生活は変わってくると思いますので、一般的なデータの紹介やリスクについてお話ししますが、どこまで実践するかについての介入は難しいことも多いと考えています。また、それによって食事が楽しくなくなるのは本末転倒です。

その上で、母乳から捕食へ、話せない口から話せる口へ、育てていくための舌や唇、歯の機能について、解剖やメカニズムを説明。乳首の吸わせ方や離乳食を与える際のスプーンの使い方や姿勢などについても、一般の方にもわかりやすく解説しました。
(参照:歯科衛生士ができること〜食べる機能の発達を学ぶ〜

その際、それぞれの身体の発達を見ながら焦らずに進める必要があることを強調しました。具体的には私の幼児期の問題点を紹介、また我が子への働きかけの反省などを具体的に盛り込みました。
(参照:口腔周囲筋ケア認定歯科衛生士 認定試験レポート食べる力を育てる“赤ちゃん主導の離乳”を学ぶワークショップが開催

お子さんによって好奇心旺盛に初めての食材にチャレンジすることもありますし、食べる量も異なります。そのことで悩まないようにということは、強く強調したつもりです。

これは望月さんと私の合言葉とも言える「100人100通りの個性を認める」ということにも繋がります。

仕上げ磨きも同様です。絶対にこの方法なら磨けるというものはありません。絵本を見て共感する子、兄弟のマネをする子、さまざまだと思います。

ただ、痛いことをいきなりされたら、それは嫌。少しずつ口から離れた場所から触れることを増やして、パパママの手は気持ちがいいと感じてもらうことが導入にはいいと思います。

自分のカラダの健康は自分で守る。それを最初に学ぶのが手洗いや歯磨きだと思います。家庭にその環境が整っているかどうか。それが家庭ごとの健康観になるでしょう。

一般的なアドバイスとして、2歳半までの口の環境づくりの重要性なども加えたため、やや詰め込み過ぎた感じもありますが…

受講された方に、「食べるは楽しい」それが伝わればと願っています。

講座を終えて

講座からしばらくして、「先日の歯の教室から、夕食は家族でマインドフルイーティングを実践している。これまでは食事中に注意がそれて話に夢中になることが多かったけど、意外と食べ終わるまで集中している。娘2人が私の真似をして、目を閉じて味わう姿がかわゆい」という言葉を望月さんから聞きました。

毎食ゆっくり噛むことができないとしても、この食材と決めてそれだけでもいいから、優しく回数をかけて噛むといい、と伝えたからだと思います。嬉しい…

それができなくても自分やお子さんを責める必要はありません。意識をするだけで、長い人生においては歯を守ることに繋がるかもしれないからです。