日本からもっとも近い国である「韓国」ですが、日本とは歯科医療制度が大きく異なることをご存じでしょうか。
日本でも韓国料理や韓国コスメ、韓流ドラマ、K-POPなど、数年前に比べて韓国がとても身近に感じられるようになりました。
今回は、韓国のインプラント治療について紹介します。
日本でも「第三の歯」とよばれ、その機能性・審美性が高く評価されているインプラント。韓国でも一般的な歯科治療として知られており、幅広い年代の方がインプラント治療を選択しています。
韓国の代表的なインプラントメーカーも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
韓国におけるインプラントの普及率
韓国では、国産メーカーのものであれば費用が抑えられることもあり、インプラント治療の需要が高く、盛んに行われています。
インプラントの三大メーカーであるストローマン社が2020年に行った調査*1では、日本のインプラント人口が世界第14位であるのに対し、韓国は1位を独走しているという結果になりました。
理由の一つとしては、65歳以上の人は条件をクリアすると保険適用でインプラント治療が受けられることが挙げられます。安ければ数万円程度の自己負担でインプラント治療を受けることができるため、多くの方が選択しやすい治療といえます。
また、韓国では審美的な側面から、義歯やメタルの補綴治療を好まない傾向があります。いくつになっても口元の印象を変えたくない方が多いのは、「美容大国」ならではの特徴といえるのではないでしょうか。
韓国で使用されるインプラントメーカーは?
韓国には、世界的にも有名なインプラントメーカーがいくつかあります。韓国で使用されているインプラントメーカーは、以下の通りです。
原産国 | メーカー名 |
---|---|
韓国 | ・オステム ・ネオバイオテック ・デンティウム ・メガジェン ・ディオデジタル など |
その他諸外国(輸入) | ・アストラ ・ストローマン ・ノーベルバイオケア など |
日本でも使用されているオステムは、世界的にも高いシェアを誇っているブランドです。
韓国では、費用が高い外国産のインプラントメーカーよりも、国産のオステムを使用するケースが多いため、比較的安くインプラント治療が受けられます。
オステムインプラントについて
韓国に本社を置くオステムインプラントの製品は、国際的な品質マネジメント規格を満たしており、厳しいチェック体制を敷いているアメリカ食品医薬品局の認証(FDA認証)も取得しています。
ここでは、オステムインプラントシステムの特徴をご紹介します。
骨との結合性が高い
結合性が高い表面性状が特徴のストローマン社インプラントと同じ表面性状であるため、骨との高い結合性を持ち合わせています。
他にもインプラントの三大メーカー(ストローマン社・デンツプライシロナ社・ノーベルバイオケア社)の良い特徴をうまく取り入れているため、日本でも高い評価を得ています。
安い価格で治療を受けられる
オステムのインプラントは高性能であるにもかかわらず、比較的安い費用で治療を受けられます。保険が適用されると35万ウォン(約3.5万円)ほど、保険適用外でも90~150万ウォン(約9~15万円)ほどで治療を受けることが可能です。
韓国の歯科医院でも、性能の高い外国産のインプラントメーカーを提案する前に、同レベルでありながら低価格であるオステムを推奨するケースが多いようです。
アジア人に使用しやすいサイズ
日本人や韓国人には、欧米人向けに開発されたインプラントシステムが合わないことがよくあります。オステムインプラントは比較的顎が小さいアジア人でも幅広く使用できるよう、直径6mm〜7mmのワイド・ショートといったインプラントを展開しています。
欧米人に比べて骨量の少ない日本人にとって、韓国のオステムインプラントのような独自のサイズ展開をしているインプラントはとても貴重なため、日本でも幅広く活用されているのでしょう。
骨造形手術が必要な場合にも適応
オステムインプラントは適用症例が幅広く、一般的にインプラントが困難と判断されやすい骨造形手術が必要な症例にも対応しています。
また、オステムインプラントは、フィクスチャーとアバットメントの接合部付近の骨吸収を抑える「プラットフォームスイッチング」という形状を採用しています。咬合力による影響で歯槽骨が吸収されることを防げるため、歯槽骨とインプラント体が長期的に保たれるよう工夫されています。
まとめ
いかがでしたか。
オステムインプラントの本社がある韓国ではインプラント治療が盛んに行われており、技術の発展も著しいです。
日本では「インプラント=外科手術が伴う高価な治療」という認識が強い傾向にありますが、韓国では一般的な歯科治療の一つと捉えられています。
人気な歯科治療であるだけに多くの歯科医院で行われ、高い技術を有している歯科医師が多いことも、韓国のインプラント治療の特徴といえるのではないでしょうか。
参考文献:
*1 2020 Anual Report-straumanngroupe
さすが美容大国?!意識が高い韓国の歯科医療制度
第1回 日本との医療制度の違い
第2回 韓国では歯列矯正が当たり前?
第3回 韓国のインプラント事情を徹底解説!