実録!訪問歯科の現場ってこんなところ vol.4 訪問歯科助手の一日の流れ

みなさん、こんにちは。歯科衛生士歴16年のYota Morisakiです。現在は訪問歯科で働きはじめて、7年ほどになります。

訪問歯科では、訪問が必要な患者さんに対応するために、業務も一般歯科とは少し違う内容となっています。

本記事では、一般歯科にお勤めの方に向けて、一般歯科と訪問歯科の業務の違いについてお伝えできればと思います。

前回までの記事はこちら

vol.1 業務内容とルール
vol.2 訪問歯科衛生士がかならず持参するもの
vol.3 訪問歯科衛生士の一日の流れ

訪問歯科助手の一日の流れ

前回に引き続き、訪問歯科のスタッフの動きを見てみましょう。今回は、訪問歯科助手の一日の流れをご紹介します。

私が勤めている歯科医院では、歯科医師+歯科助手+コーディネーターの組み合わせで訪問を実施しています。

  1. 出勤(8:15頃〜)
  2. 午前の訪問(8:30or9:00頃〜)
  3. お昼休み(12:00頃~)
  4. 午後の訪問
  5. 帰社後の作業(18:00頃~)
  6. 退社(18:30or19:00頃〜)

出勤(8:15頃〜)

訪問歯科助手は、午前の診療準備として、訪問用セットやカルテなどのさまざまな準備を行うため、歯科医師や歯科衛生士よりも出勤時間が早いです

また、歯科助手だけでなくコーディネーターも早めに出勤し、アポイントの管理や車の準備などを行います。

私が勤めている事務所の歯科助手の方は、8時15分頃には出勤しています。

訪問用セットの準備

訪問用セットの準備をします。訪問診療車で使用する訪問用セットは、歯科衛生士の訪問用セットに加えて、超音波スケーラーやバキューム、タービン類などの大きな器材があります
(参照:実録!訪問歯科の現場ってこんなところ vol.2 訪問歯科衛生士がかならず持参するもの

そのため、台車に積んで移動する必要があります。

もし忘れ物をしてしまっても取りに戻れないため、出発前には念入りに確認を行います

カルテの準備

口腔ケアを行う歯科衛生士の訪問とは違い、訪問診療車には急患が入ります。前日の夜などに新しい患者さんからの依頼が入っていないか確認して、カルテの準備をします。

日報用の用紙の準備

事務の方から、各患者さんへの訪問時間を記録する日報用の用紙を受け取ります。歯科衛生士よりも、訪問診療車で歯科医師と一緒に回っている歯科助手が記録することが多い傾向にあります。

現金やクレジットカードの準備

歯科衛生士の口腔ケアの訪問車と同様に、お財布やクレジットカードの準備をします。

午前の訪問(8:30or9:00頃〜)

訪問の準備が整ったら、訪問用セットとカルテ、お財布を持って出発します。訪問用セットが大きいため、コーディネーターが駐車場から事務所に車を回します。

歯科医師が電車通勤の場合は、コーディネーターと歯科助手が車で駅まで向かい、歯科医師を乗せて訪問に出ることが多いです。

また、歯科衛生士の口腔ケアとは違い、歯科医師の診療は、20分以下の訪問でも問題ないケースがあります
(参考:実録!訪問歯科の現場ってこんなところ vol.1 業務内容とルール

「患者さんが要介護3以上に準じる状態」といった条件下であれば、20分以下の診療になっても20分と同じ点数を算定することができるのです。そのため、午前中だけで5~6人以上の患者さんを回ることもあります。

お昼休み(12:00頃~)

お昼ご飯は、歯科医師やコーディネーターと一緒にみんなでとります。近くのファミリーレストランに入ることもあります。

患者さんが固定されている歯科衛生士とは違い、訪問診療車は日によってアポイントや訪問時間にばらつきがあるため、その日のスケジュールに応じたタイミングでお昼休みをとります。

午後の訪問

午後も、午前と同じように患者さんを訪問して帰社します。おおよそ18時~18時30分頃に事務所へ戻ることが多いです。

帰社後の作業(18:00頃~)

事務作業

帰社後に事務作業を行います。カードとお財布を返却し、記録済みの日報を提出します。

洗い物・消毒・滅菌

基本セットとバキューム類を洗ってオートクレーブにかけ、タービン類の手入れをして、採得した印象に石膏をつぎます。このとき、ごみ捨てなども行います。

翌日の準備・補充

ディズポーザブルの器具や材料など、翌日のための補充を行います。

退社(18:30or19:00頃〜)

おおよそ18時30分~19時頃に退社をします。

多岐にわたる歯科助手の仕事

口腔ケアを目的とした患者さんを訪問する歯科衛生士は、ルートが一定で、器材は一人で持ち運べる量を運んでいます。

一方で、歯科医師の訪問診療車に乗る歯科助手は、もともと入っているアポイントに加え、急患にも対応しなくてはなりません。そのため、用意する器材は膨大になります。

また、帰社後の器材の手入れやカルテの準備なども、すべて歯科助手の業務です。

歯科衛生士の私からすると、臨機応変な判断を求められる場面が多く、かつ仕事内容が多岐にわたるように見えます。それでも、朝会うと本当に晴れやかな顔であいさつをしてくれて、頭が下がる思いです。

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いかがでしたか?

今回は訪問歯科の現場の実際として、歯科助手の基本的な一日の流れについてご紹介しました。

ご興味をおもちの方は、ぜひ訪問歯科の世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。