さすが美容大国?!意識が高い韓国の歯科医療制度 Vol.4 日本とは異なる韓国のオーラルケア事情

日本からもっとも近い国である「韓国」ですが、日本とは歯科医療制度が大きく異なることをご存じでしょうか。

日本でも韓国料理や韓国コスメ、韓流ドラマ、K-POPなど、数年前に比べて韓国がとても身近に感じられるようになりました。

では、韓国と日本のオーラルケアに違いはあるのでしょうか。同じアジアに位置する国であり、文化的にも共通点が多いものの、韓国のオーラルケアに対する意識について知る機会はあまりないですよね。

そこで今回は、韓国のオーラルケア事情について解説します。日本と大きく異なる点や、韓国で人気のオーラルケア用品も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

韓国のオーラルケアに対する意識

韓国では、歯科治療が健康保険に適用されないことから、予防歯科に対する意識が高い傾向にあります。

韓国の健康保険団体が行った「歯磨きの回数・使用器具について」のオンライン調査*1の結果をご紹介します。

韓国のオーラルケア時事情についてのアンケート調査(n=2,500、画像は参考文献1より引用)

一日のブラッシングの回数は、「3回」が48.8%、続いて「2回以下」が45.0%という結果になりました。

一方で日本人のブラッシングの回数は、厚生労働省の調査*2によると一日「2回」が最多で49.8%、「3回以上」は27.3%にとどまります。

ブラッシングについては、韓国では一日3回、日本では2回が主流ということが、この結果から読み取れます。

また、韓国人がブラッシング時にフロスを使用している割合は、32.2%という結果でした。

日本人はというと、歯ブラシのほかにフロスや歯間ブラシを使用している人の割合は男性で30.6%、女性は46.3%と、男性の使用率においては韓国よりも低くなっています。

加えて、韓国では食後に歯ブラシを使ってケアする方が多いという調査結果も。フロスをうまく利用して丁寧にケアをしている人も多く、予防に対する意識の高さが伺えますね。

韓国のオーラルケア用品の特徴は?

同じアジア圏内の韓国と日本ですが、それぞれのオーラルケア用品には大きく異なる点があります。歯科保険制度が異なることや、国民性がケア用品に表れているようです。

韓国でメジャーな歯ブラシとは

日本では二段タイプや奥まで磨きやすいヘッドの小さいタイプが人気ですが、韓国の歯ブラシは、ヘッドが大きいタイプが主流です。やわらかいブラシやヘッドの小さいブラシを使用する人は少なく、やわらかいものでは「磨いている気がしない」と感じる方もいるほどだそうです。

何事も「早く、早く」という文化がある韓国では、ブラッシングも大きな歯ブラシを使って一気に済ませたいのかもしれませんね。

歯間ブラシはシリコンタイプが人気

韓国では、シリコンタイプの歯間ブラシが人気な傾向にあります。一般的に販売されているものは歯間が広くない若い世代を対象としているため、細い歯間ブラシが主流です。

また、韓国には日本のような日用品と医薬品を両方販売しているドラッグストアがなく、医薬品のみを販売する薬局が独立しています。

薬局で売っている歯間ブラシはサイズ展開が少なく、自分に適切なものを購入するには、歯科医院で購入するか、ネット販売を利用する必要があります

歯磨剤の成分に大きく異なる点はない

韓国で販売されている歯磨剤は、日本のものと大きく異なる部分はありません。

韓国内でも歯磨剤に含まれるフッ化物イオン濃度は1,500ppm以下に定められ、もっとも多く含まれている製品は1,450ppmほどです。歯科医院ではう蝕予防の観点から、フッ化物含有濃度が1,000~1,450ppmのものを推奨しています。

また、研磨剤や発泡剤なども日本のものと同じように含まれ、とくに成分を重要視する傾向はありません。

ただし、老若男女問わず一度のブラッシングでたっぷりと歯磨剤を使用する人が多いようです。モコモコとよく泡立てて磨くことで、「しっかり磨いている感覚」を得ているのかもしれませんね。

韓国ではオーラルケア用品の種類が少ない

日本の薬局やスーパーでは、さまざまなオーラルケア用品がずらりと並んでおり、ブランドの選択肢も豊富ですが、韓国では限られた製品だけが販売されています。

デンタルリンスや歯間ブラシなどの補助清掃器具は2~3種類ずつ並べられ、「どの製品が良いのか」「どちらが合っているのか」などと迷うことはほとんどありません。

一風変わった形の歯ブラシも

韓国にはなんと、3つのヘッドからなる歯ブラシ・電動歯ブラシがあります。唇側・舌側・咬合面を同時に磨くことができる画期的な製品です。

一般的に広く使用されているわけではないようですが、ネット販売が発達している韓国ではよく見かける形状です。子ども用もあり、ブラッシングの練習にも使われているようです。

韓国で大ヒットした電動歯ブラシ COOLSSHA(画像は株式会社MEDIK公式サイトより引用)

電動歯ブラシやジェットウォッシャーも人気

オーラルケア用品の種類こそ少ないものの、韓国では電動歯ブラシやジェットウォッシャーが広く使用されています。電動歯ブラシは磨いた後の舌ざわりが良いという理由から、老若男女問わず幅広く使われているようです。

また、ジェットウォッシャーは矯正治療を受けている人から高い人気を集めています。矯正治療がさかんに行われている韓国では、治療中のう蝕リスクを軽減するために、ジェットウォッシャーを利用する人が多いようです。

まとめ

今回は韓国のオーラルケア事情について解説しました。

日本と大きく異なるのは、ブラッシングの回数が多い傾向にある点や、販売されている製品の種類が少ない点でしょうか。

日本では歯が痛くなってから歯科医院を受診しても保険適用の治療が受けられますが、韓国では「歯が痛い時点で保険適用外」です。そのため、不必要な治療費がかからないよう、しっかりとオーラルケアに取り組む方が多いのでしょう。

参考文献:
*1 大韓民国口腔健康報告書-韓国P&G
*2 平成28年 歯科疾患実態調査結果の概要-厚生労働省

さすが美容大国?!意識が高い韓国の歯科医療制度

第1回 日本との医療制度の違い
第2回 韓国では歯列矯正が当たり前?

第3回 韓国のインプラント事情を徹底解説!
第4回 日本とは異なる韓国のオーラルケア事情