実録!訪問歯科の現場ってこんなところ vol.6 多職種との連携について

みなさん、こんにちは。歯科衛生士歴16年のYota Morisakiです。現在は訪問歯科で働きはじめて、7年ほどになります。

訪問歯科では、訪問が必要な患者さんに対応するために、業務も一般歯科とは少し違う内容となっています。

本記事では、一般歯科にお勤めの方に向けて、一般歯科と訪問歯科の業務の違いについてお伝えできればと思います。

前回までの記事はこちら

vol.1 業務内容とルール
vol.2 訪問歯科衛生士がかならず持参するもの
vol.3 訪問歯科衛生士の一日の流れ
vol.4 訪問歯科助手の一日の流れ
vol.5 訪問診療で配慮すべき患者の全身状態

訪問診療で出会う多職種の方々

訪問歯科診療で患者さんのところに伺うと、さまざまな職種の方と出会います。各職種の方と連携をとっていると、それぞれの職種が少しずつ一人の患者さんを支えていることを実感します

では、具体的にどのような職種の方が、歯科衛生士とどう連携しているのでしょうか。代表的な職種を挙げて説明していきます。

ケアマネージャー

ケアマネージャーの方は、歯科衛生士がもっとも関わりが多い職種かもしれません。デイサービスの日程や、ヘルパーの方との時間帯の調整などでよく連絡をとります。

担当している患者さんの施設に連絡した際に取り次いでもらうこともあれば、直接メールでやりとりすることもあります。

担当の地区が重なっていることもあり、「あ、あの患者さんのところでもお会いした…」となることも少なくありません

介護福祉士

介護福祉士の方とは、施設で出会うことが多いです。

車いすへの移乗や排せつの手伝いといった専門的なことだけでなく、施設のレクリエーション運営など多くの業務を行っていることも少なくありません。

ヘルパー

介護福祉士と違い、ヘルパーは国家資格がなくてもなれる職種です。

介護福祉士と同じような業務を行っている方もいますが、私が出会うヘルパーの方は、自宅内での洗濯物や食事の手伝いなどを行っていることが多いです

ヘルパーの方が来た後は、患者さんの自宅がすっきりしているという印象です。

医師

患者さんから「さっき訪問の先生に来てもらって、膝の水を抜いてもらったのよ」などと聞くことがよくあります。年齢を重ねると突然どこかが痛くなることも多く、救急で医師が訪問することも少なくありません

あまりお会いすることはありませんが、割と頻繁に患者さんの自宅を訪れている職種といえるのではないでしょうか。

看護師

ヘルパーさんに続き、よく出会うのが看護師さんです。日々の血圧測定や体位交換、薬のチェック、おむつ交換まで行っています。

痰の吸引なども行えるため、「Morisakiさんも吸引の講習を受けてみたら?」と気さくに連絡先とアドバイスをくれる方もいます

仕事を越えて患者さんの生活に寄り添っているのだろうなと思うことが多く、いつも頭が下がります。

理学療法士・マッサージ師

リハビリやマッサージ関連の方にもよくお会いします。マッサージは、患者さんがとくに楽しみにしているようです。

入浴関連の方

訪問の入浴はとても大変な仕事だと感じます。大きなお風呂と、場合によってはお湯を出す設備がついている車で、数人の方が訪問し、入浴の介助を行います。

基本的に歯科衛生士との連携はなく、時間で入れ替わりになることが多いのですが、夏の暑い季節は本当に大変だと思いながら拝見しています。

入れ替わり立ち替わりで大変なケースも

普段デイサービスを利用している患者さんのもとには、週に一回の在宅の日にさまざまな職種の方が訪れることになります。

朝はヘルパーさんに洗濯をしてもらい、昼から看護師の訪問、そしてマッサージを受けた後に、歯科衛生士がケアに…なんてこともよくあります。

忙しい一日でも、「来てくれるケアの方と話をするのが楽しみ」と言ってくれる患者さんやご家族の方もいます。嬉しい瞬間なので、できるだけ楽しい話題を仕入れて訪問するようにしています。

***

いかがでしたか?

今回は訪問歯科の現場の実際として、どのような職種の方と連携してケアを行っているのかについてお伝えしました。

訪問で口腔ケアを受ける患者さんは、歯科衛生士以外にもたくさんの職種の方の訪問を受け、日々の生活を送っています。そこには職種や立場を越えた人と人とのコミュニケーションがあります

訪問歯科にご興味をおもちの方は、ぜひ訪問歯科の世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。