こんにちは!⻭科医師の遠藤眞次です。
インプラント治療に関するあなたのモヤモヤを解消する、dStyleではじめるインプラント基礎講座。最終回である今回は「覚えておきたいインプラント用語50選」と題し、インプラント治療に関連する用語をまとめました。
前回までの記事はこちら
第1回 インプラント治療への第一歩
第2回 インプラントの構造と仕組み
第3回 インプラントの固定方法とメリット・デメリット
第4回 インプラント治療全体の流れ
第5回 インプラントのシミュレーションと印象採得
第6回 インプラント周囲炎とメインテナンス
第1〜6回の記事で登場したワードに加えて、重要度の高い用語を選びました。これだけ知っていれば、インプラントに関する話題にもスムーズに対応できると思います。
これまでの記事で解説したワードは、該当する回を[ ]で併記しています。忘れたときはこれまでの記事を確認しながら読み進めてくださいね。
器材準備にもアシストにも大切な用語ですので、ぜひ最後までお読みください!
1.あ行のインプラント用語
2.か行のインプラント用語
3.さ行のインプラント用語
4.た行のインプラント用語
5.な行のインプラント用語
6.は行のインプラント用語
7.ま行のインプラント用語
8.ら行のインプラント用語
あ行のインプラント用語
① ISQ(アイ・エス・キュー)値
インプラントの固定度合が数値化されたもの。オステル®︎という機械で測定し、1〜100の数値で表現される。
② アクセスホール[3]
スクリュー固定の上部構造をインプラント体に連結するための穴。
③ アバットメント[2]
インプラント体と上部構造の間に介在するパーツ。
④ アバットメントスクリュー[3]
インプラント体にアバットメントや上部構造を連結するためのネジ。
⑤一次手術[4]
2回法のインプラント治療における、インプラント埋入手術のこと。オッセオインテグレーションの獲得を待って二次手術をする。
⑥ 1回法インプラント[4]
上部構造を装着するまでに手術が1回だけ必要なインプラント。インプラント埋入手術と同時にヒーリングアバットメントを装着する。
⑦ 印象用コーピング[4]
インプラントの印象採得に用いるパーツ。
⑧ 印象用キャップ[4]
クローズドトレー法の印象採得に用いるパーツ。クローズドトレー法用の印象用コーピングに装着して使用する。
⑨ インターナルバットジョイント[2]
インプラント体とアバットメントの接合様式の一つで、インプラント体の内側にアバットメントが入り込む。
⑩ インプランター
ドリリングやインプラント埋入時に使用される機器。回転数やトルクを設定できるコントラのようなもの。
⑪ インプラントアナログ[5]
上部構造を作製するときに使用する、インプラント体を模した技工用パーツ。
⑫ インプラント周囲炎[6]
埋入されたインプラント体周囲の骨が、炎症によって吸収された状態。天然歯における歯周炎。
⑬ インプラント周囲粘膜炎[6]
埋入されたインプラント体周囲の粘膜に炎症が生じた状態。天然歯における歯肉炎。
⑭ インプラント体[2]
骨に埋入され、歯根の役割をはたすパーツ。
⑮ インプラント体埋入手術[4]
骨にインプラント体を埋入する手術。
⑯ インプラントドライバー[3]
アバットメントスクリューを締めるためのドライバー。
⑰ エクスターナルバットジョイント[2]
インプラント体とアバットメントの接合様式の一つで、インプラント体がアバットメントの内側に入り込む。
⑱ オッセオインテグレーション[2]
インプラント体と骨が直接結合すること。
⑲ オープントレー法[5]
インプラントの印象採得方法の一つ。
か行のインプラント用語
⑳ ガイデッドサージェリー[5]
サージカルガイドプレートなどを用いてドリリングする方法。ドリルの位置や深さ、角度などをあらかじめ設定できる。
㉑ カバースクリュー[4]
インプラント体に装着されるパーツで、インプラント体に蓋をする。一次手術で使用される。
㉒ クローズドトレー法[5]
インプラントの印象採得方法の一つ。
㉓ 骨造成
インプラント体支える骨が不足している場合に行われる手術。骨補填材を用いて骨の量を増やすことが目的。
㉔ コニカルコネクション[2]
インプラント体とアバットメントの接合様式の一つで、アバットメントがくさび状にインプラント体に連結される。
さ行のインプラント用語
㉕ サイナスリフト
上顎洞に適用する骨造成の術式の一つ。狭義では上顎洞外側壁から上顎洞内にアプローチする術式を指す。
㉖ サージカルガイドプレート[5]
ガイデットサージェリーで用いられ、ドリルの位置や深さ、角度などが設定された装置。
㉗ GBR(ジー・ビー・アール)法
骨造成の術式の一つ。骨が不足した部位に骨補填材を入れ、メンブレンで被覆する。
㉘ シミュレーションソフト[5]
CT データと模型をもとに、インプラント体の埋入位置をコンピュータ上で設計(プランニング)するためのソフトウェア。
㉙ 上部構造[3]
インプラント体に支持される補綴装置。天然歯におけるクラウンやブリッジに該当する。
㉚ 初期固定
埋入直後のインプラント体と骨との固定度合い。一般には埋入トルクが参考にされることが多い。
㉛ 深度ゲージ
埋入窩の深さや直径を計測するための道具。デプスゲージとも呼ばれる。
㉜ スクリュー固定[3]
アクセスホールからアバットメントスクリューをゆるめることで、上部構造の取り外しができる固定方法。
㉝ 生体親和性[2]
体に有害ではなく、生体となじむ性質のこと。チタンやハイドロキシアパタイトなどは生体親和性が高いとされている。
㉞ セメント固定[3]
上部構造とアバットメントをセメントで固定する方法。アクセスホールはなく、装着後の着脱は困難な場合が多い。
㉟ ソケットリフト
上顎洞に適用する骨造成の術式の一つ。埋入窩から上顎洞内にアプローチする。
た行のインプラント用語
㊱ ティッシュレベルインプラント[2]
インプラント体の一部を骨の外に位置するように埋入されたインプラント。
㊲ ドリル[4]
ドリリングに使用する道具。パイロットドリルやプロファイルドリルなどがあり、用途に応じて使い分ける。
㊳ ドリリング[4]
ドリルによって埋入窩を形成すること。
㊴ ドリルハンドル
サージカルガイドプレートと適合し、ドリリングをサポートするための道具。サージカルガイドプレートのメーカーによって必要な場合とそうでない場合がある。
㊵ トルクレンチ
アバットメントやアバットメントスクリューなどを着脱するときに用いる道具。インプラントドライバーなどを装着して使用する。
な行のインプラント用語
㊶ 2回法インプラント[4]
上部構造を装着するまでに二回の手術が必要なもの。
㊷ 二次手術[4]
2回法のインプラント治療で、カバースクリューとヒーリングアバットメントを交換する手術のこと。
は行のインプラント用語
㊸ ヒーリングアバットメント[4]
インプラント体に装着されるパーツで、ヒーリングアバットメントを介して口腔内とインプラント体が繋がる。二次手術で使用される。
㊹ 表面性状[2]
インプラント体表面の状態。
㊺ ボーンレベルインプラント[2]
インプラント体全体が骨内に位置するように埋入されたインプラント。
ま行のインプラント用語
㊻ マシーンドインプラント・サーフェイス[2]
表面性状の一つで、インプラント体表面が滑沢なもの。
㊼ 埋入窩[4]
インプラント体が埋入される骨の窩洞のこと。ドリリングすることで形成される。
㊽ 埋入トルク
インプラント体を埋入する際の抵抗。N・cmで表され、臨床では30N(ニュートン)のように表現されることが多い。
㊾ 免荷期間
インプラント体に咬合力などの負荷をかけない期間のこと。インプラント体が埋入されてから上部構造が装着されるまでの期間を指すことが多い。
ら行のインプラント用語
㊿ ラフ・サーフェイス[2]
表面性状の一つで、インプラント体表面が粗造なもの。現在のインプラントでは主流となっている。
dStyleではじめるインプラント基礎講座 全7回終了!
今回はインプラント治療で使われる用語について解説しました。
本記事をもって「dStyleではじめるインプラント基礎講座」全7回の連載が終了します。いかがでしたか?
この連載を通して、一人でも多くの方にインプラント治療を身近に感じていただければ嬉しいです!インプラントについて学び、安心で安全なインプラント治療を患者さんに届けていきましょう!
参考文献:公益社団法人日本口腔インプラント学会. 口腔インプラント学学術用語集 第4版.医歯薬出版. 2020. p7.
dStyleではじめるインプラント基礎講座
第1回 インプラント治療への第一歩
第2回 インプラントの構造と仕組み
第3回 インプラントの固定方法とメリット・デメリット
第4回 インプラント治療全体の流れ
第5回 インプラントのシミュレーションと印象採得
第6回 インプラント周囲炎とメインテナンス
第7回 覚えておきたいインプラント用語50選