口腔周囲筋ケアオンラインセミナー レポート

2020年初めに新型コロナウィルスの発生が国内で確認され、私たちは新しい行動様式を余儀なくされました。

それまで対面にこだわってきたという口腔周囲筋ケアセミナーも、比較的早い時期にオンラインへと移行されました。結果的に、首都圏から少し離れたところ在住の私は、気軽に自宅で受講できるという恩恵をあずかります。

オンラインセミナーでは、高見澤さんによる口腔周囲筋ケアの講座プラス、さまざまな講師による多岐に渡る講義が行われました。ドクターによる義歯や障害者歯科、ナースによる訪問看護、訪問・歯周病に特化した歯科衛生士による講義や、中医学などなど。

その中でも記憶に新しいのが、『お口の取扱説明書―健康でいたければ、よく嚙むのをやめなさい(第一歯科出版)』の著者、吉田渉先生の講義です。

吉田渉先生
吉田渉先生

今回はそれについて書かせていただきたいと思います。

  1. 山梨プレゼン大会
  2. プライベートレッスン
  3. 認定試験
  4. オンラインセミナー
  5. 気づきからの発展

口腔周囲筋ケアオンラインセミナー

吉田先生は以前にもZoomでセミナーをされており、以前に少人数のラフな雰囲気の中で安静空隙について教えていただいたことがありました。

吉田先生は口の中を畑の大根に例えられます。そのイラストは私に突き刺さりました。

患者さんの口腔内の経年変化などを思い浮かべ、それを自分ごとに落とし込み、過去を振り返り、将来を予測して今すべきことを見出す。そして、それを患者さんにフィードバックします。

歯の経年変化がわかりやすいイラスト(提供:お口の取扱説明書―健康でいたければ、よく嚙むのをやめなさい,第一歯科出版,2022,**p.)
歯の経年変化がわかりやすいイラスト(引用:お口の取扱説明書,第一歯科出版,2022,17p.)

自分がたまたま歯を失わずに済んでいるのは、カリエスフリーかつプラークコントロールができていたからで、私の大根は畑で揺り動かされてきたわけです。垂直にも側方にも。

そしてスキマ安静空隙が消失している人は、唇や舌の動きが未発達ということで、乳幼児期に問題があったはずとの考え(前回の仮説)にも一致します。蕎麦をすするのが苦手なのも、その一つらしいです。

吉田先生は小児歯科学教室に在籍されていましたが、子育て中は口や唇の動きを観察することに重きを置いていなかったそうです。(同世代である私も同様です。)将来にわたり影響を及ぼす口や舌の動き。今では早期の対応を推奨されています。

その一つとしてBLWをススメられているのは、方法より成長発達過程で赤ちゃんの出すサインや行動を見極めることが重要だからです。食べる力は生きる力に繋がります。

私自身、力のコントロールへのアプローチは早い方がいいと考えており、できれば妊婦さん。あるいは乳幼児の保護者の方へ情報を届けたいと考えています。

それには発達について知る必要があると、現在は赤ちゃんの発達を体感しながら学んでいるところです。

“健康でいたければ、よく噛むのをやめなさい”という副題は、なかなかセンセーショナルです。よく噛むのをやめるというのは、少し噛んですぐに飲み込みなさいという意味ではなく、強い力で噛みつづけてはいけないということです。それを理解していただくのは結構難しいのですが、チマチマ食べる(優しく食べる)というイメージです。

スキマ安静空隙が長時間消失し、強く噛むことを好む方は危険度が非常に高いです。その是正には、舌のポジションの改善が必須です。その方法として、自らの気づき、噛む力の観察、セルフ開口ストレッチ、さらには筋肉に対するプロフェッショナルケアとして、口腔周囲筋ケアを挙げられていました。

スキマ安静空隙を作るための舌のポジションは、簡単にいうと、この図の位置です。

スキマ安静空隙の作り方(提供:お口の取扱説明書―健康でいたければ、よく嚙むのをやめなさい,第一歯科出版,2022,**p.)
舌のポジション(引用:お口の取扱説明書,第一歯科出版,2022,15p.)

これを患者さんにお伝えするのも、口腔周囲筋ケアを学んだ歯科衛生士の大切な役割のひとつだと考えています。

口腔周囲筋ケアを学んだ歯科衛生士は筋肉、舌、唾液への関心が非常に高くなりますので、吉田先生の講座は、みんなが熱望。質疑応答も活発に行われました。

当書で挙げられている「お口を健康にする10箇条」については、自分自身も含め生活習慣の改善が必須だと感じました。

第1条 口は食べ物の通り道、鼻は空気の通り道
第2条 闇鍋のススメ『噛む力の強さは食べ物に聞け!』
第3条 夜間のことは、とりあえず放っておく
第4条 歯が動くのではなく、強く噛んで「自分で動かしている」
第5条 歯と歯ぐきを大根で例えると
第6条 噛む力を調整すれば、歯に食べ物が挟まらない
第7条 食事に舌も使いましょう!
第8条 フロスを手離せないような強い咀嚼をしていると、歯周病になる
第9条 歯科医療は“ゆりかご”から“墓場”まで
第10条 「できる人」と「できない人」

ここで、同じくオンラインセミナーを受講した、口腔周囲筋ケア認定歯科衛生士の中須賀愛さんのまとめノートをご紹介します。

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去る7月10日、吉田先生を特別講師にお招きし、口腔周囲筋ケアオンラインセミナーが開催されました。今回は舌にスポットが当たる講演で、こちらも非常に勉強になりました。

クリックで詳細(Instagram)へ

セミナーは満席の中終了しましたが、7月24日(日曜日)まではアーカイブがあるようです。お問い合わせは、主催の高見澤亜衣さんまでお願いいたします。

高見澤亜衣さんのInstagramはこちら

口腔周囲筋ケアセミナー 参加レポート

第1回 山梨プレゼン大会
第2回 プライベートレッスン
第3回 認定試験
第4回 オンラインセミナー